この記事でわかること
- 妊娠中にタイ古式マッサージを受けてよいかの基本的な考え方と、判断の前提
- 妊娠初期・安定期・後期の週数別の注意点とリスクの違い
- 妊娠中に避けたほうがよい部位・手技・ツボの整理
- 妊婦対応サロンの選び方と施術前に伝えること
公的情報源: 公益社団法人 日本産科婦人科学会/厚生労働省の公開情報を参考に整理
妊娠中にタイ古式マッサージを受けていいのか、迷っている方は多いと思います。腰や脚のつらさをやわらげたい気持ちと、お腹の赤ちゃんへの不安が、ちょうど同じくらいあるからです。この記事では、週数ごとの注意点と、安全に受けるための条件を、できるだけ中立に整理します。
結論を先に書きます
妊娠中のタイ古式マッサージは、「受けてよい・悪い」を一律には決められず、慎重な判断が必要です。多くの妊婦対応サロンは、安定期(妊娠16週ごろ)以降で、かつ産科医の許可があることを受け入れの前提にしています。
そして何より大切なのは、施術を受ける前に、かかりつけの産科医へ相談することです。妊娠の経過は一人ひとり違い、安定期でも控えたほうがよい状態(切迫早産・前置胎盤など)があるためです。
- 受ける前に、まずかかりつけの産科医へ相談するのが基本
- 妊娠初期(〜15週ごろ)は避けるのが無難とする店が多い
- 安定期以降でも腹部・腰・足裏・特定のツボは避けるのが一般的
- 受けるなら妊婦の施術に慣れたサロンを選び、週数と体調を事前に伝える
妊娠中にタイ古式マッサージを受けていい?基本的な考え方
結論として、妊娠中の施術は「条件が整った場合に、慎重に検討するもの」と考えるのが安全です。タイ古式マッサージは、指・肘・膝による圧迫と大きなストレッチを組み合わせる施術なので、一般的なリラクゼーションより身体への負荷が大きい点に注意が必要です。
判断の出発点はシンプルです。まずかかりつけの産科医に相談し、許可が得られたうえで、妊婦対応のサロンを選ぶ。この順番を崩さないことが、不安なく受けるための土台になります。
受ける前に確認したい条件
妊婦対応をうたうサロンの多くは、次のような条件を受け入れの目安にしています。週数だけでなく、当日の体調も含めて総合的に見るのが一般的です。
- かかりつけの産科医から許可を得ている
- 安定期(妊娠16週ごろ)以降である
- 当日に出血・腹痛・強い張りがない
- 妊婦の施術に慣れた施術者である
下の表は、確認しておきたい項目を整理したものです。「必須」は、ひとつでも欠けると施術を見送るほうが安心な項目です。
| 確認項目 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 産科医の相談・許可 | かかりつけ医に相談し許可を得ている | 必須 |
| 妊娠週数 | 安定期(16週ごろ)以降である | 必須 |
| 当日の体調 | 出血・腹痛・強い張りがない | 必須 |
| 施術者の経験 | 妊婦の施術の知識と経験がある | 必須 |
| 避ける部位 | 腹部・腰・足裏・特定のツボを避けてもらえる | 必須 |
| 施術時間 | 60分以内を目安にする | 推奨 |
なぜ「安定期から」とされることが多いのか
妊娠初期は胎盤がまだ完成しておらず、身体が大きく変化する時期です。この時期は無理をせず過ごすことがすすめられており、強い圧やストレッチを伴う施術は時期を問わず控えるのが無難とされています。
安定期に入ると経過が落ち着く方が増えるため、産科医の許可を前提に、身体のケアを検討する妊婦さんが多くなります。==ただし「安定期=誰でも受けてよい」ではない==点は、繰り返し意識しておきたいところです。
妊娠週数別の注意点:時期ごとに何が違う?
妊娠中の身体は週数によって状態が変わるため、注意点も時期で変わります。ここでは初期・安定期・後期の3つに分けて、考え方を整理します。いずれの時期も、最終的な可否はかかりつけの産科医の判断が前提です。
- 妊娠初期(4〜15週ごろ):控えるのが無難な時期
- 安定期(16〜27週ごろ):比較的検討しやすい時期
- 妊娠後期(28週〜):より慎重さが求められる時期
妊娠初期(4〜15週ごろ):控えるのが無難な時期
妊娠初期は胎盤の形成が途中で、身体が不安定になりやすい時期です。つわりや体調の波も重なりやすく、無理をしないことが何より大切とされています。
この時期は、強い圧やストレッチを伴うタイ古式マッサージを控えるのが無難です。実際、妊娠初期の施術は受け付けないサロンが多くあります。脚をほぐしたいときも、まずは産科医に相談してから検討してください。
安定期(16〜27週ごろ):比較的検討しやすい時期
安定期は経過が落ち着く方が増え、腰痛・むくみ・肩のつらさのケアを望む声が多くなる時期です。産科医の許可を前提に、妊婦対応の施術者であれば、検討しやすくなります。
姿勢は、お腹を圧迫しない横向き(とくに左向き)や座った姿勢が基本です。施術時間は45〜60分ほどを目安にし、お腹の張りや気分の変化を感じたらすぐに伝えて中断してもらえるよう、施術中もこまめに声をかけ合える店を選ぶと安心です。
妊娠後期(28週〜):より慎重さが求められる時期
後期はお腹が大きくなり、長く同じ姿勢を保つこと自体が負担になります。圧やストレッチは軽めにとどめ、施術時間も短めにするなど、より慎重な配慮が必要です。週数が進むと施術を控えるサロンも増えます。
切迫早産や前置胎盤などの診断を受けている場合は、安定期・後期を問わずマッサージは受けないのが基本です。気になる症状があるときは、施術より先に産科を受診してください。
妊娠中に避けたほうがよい部位・手技・ツボ
妊娠中のタイ古式マッサージでは、避けたほうがよいとされる部位や手技があります。施術者に任せきりにせず、事前に「ここは避けてほしい」と伝えられるよう、目安を知っておくと安心です。
とくに東洋医学で出産に関わるとされるツボ(三陰交・合谷など)や、お腹・腰への直接の圧迫、足裏への強い刺激は、妊娠中は避けるのが一般的な考え方です。うつ伏せの姿勢もお腹を圧迫するため使いません。
| 避けたい部位・ツボ | 場所の目安 | 避ける理由 |
|---|---|---|
| 三陰交(さんいんこう) | 内くるぶしの上あたり | 出産に関わるとされるツボのため |
| 合谷(ごうこく) | 手の親指と人差し指の間 | 出産に関わるとされるツボのため |
| 足裏全体 | 足の裏 | 強い刺激を避けたい部位のため |
| 腹部 | おへそ周辺・下腹部 | お腹への直接の圧迫を避けるため |
| 腰・仙骨まわり | 腰の下部 | 強い圧を避けたい部位のため |
| うつ伏せの姿勢 | 施術姿勢全般 | お腹を圧迫するため |
足裏や脚への強い刺激は控える
タイ古式マッサージは足先から脚をしっかりほぐすメニューが標準的ですが、妊娠中は足裏や脚への強い刺激は控えるのが基本です。内くるぶし上の三陰交は出産に関わるツボとされ、妊娠中は避けるよう案内するサロンが一般的です。
「軽くやるから問題ない」といった施術者側の判断をうのみにせず、妊婦の施術に慣れているかを事前に確認しましょう。不安があれば、その日は脚の施術を省いてもらう選択も取れます。
施術前に伝えておきたいこと
- 妊娠中であることと、具体的な週数
- 産科医に相談・許可を得ていること
- 足裏・内くるぶし・腹部・腰への施術は不要であること
- うつ伏せの姿勢を使わないでほしいこと
- 体調の変化があればすぐ中断してほしいこと
妊娠中の安全な受け方:姿勢・時間・環境
受けると決めたら、姿勢や時間、環境の整え方でも負担を減らせます。ここでは、妊婦対応のサロンで一般的に配慮されているポイントを整理します。
姿勢は「横向き」が基本
妊娠中の施術で配慮されやすいのが姿勢です。仰向けで長くいると、大きくなった子宮が血管を圧迫し、気分が悪くなることがあります。そのため、横向き(とくに左向き)や座った姿勢が選ばれることが多くなります。
横向きのときは、膝の間やお腹を支えるクッションがあると安定します。こうした道具が用意されているかどうかも、妊婦対応サロンを見分けるひとつの目安です。
時間・頻度・室温の配慮
施術時間は長くても60分ほどを目安にし、体調に合わせて短くするのが安心です。長すぎると、施術後に疲れや張りが出やすくなります。頻度も詰め込みすぎず、ゆとりをもって計画しましょう。
妊娠中は体温調節がしづらいため、室温が高すぎる環境や過度に温める施術は避けたいところです。施術後に張りや出血、強い違和感が続く場合は、我慢せず産科を受診してください。
タイ古式マッサージとマタニティマッサージの違い
「妊娠中ならどれを選べばいい?」という疑問もよく聞きます。タイ古式マッサージとマタニティマッサージは、設計の出発点が違います。違いを知っておくと、自分に合うほうを選びやすくなります。
マタニティマッサージは、最初から妊婦向けに設計され、避けるべき部位を外した手技で構成されています。一方のタイ古式マッサージは、もともと幅広い人向けの施術なので、妊婦に提供するには施術者が妊婦NGの手技を正しく外す知識が欠かせません。初めて妊娠中に受けるなら、マタニティマッサージから検討するほうが安心です。
| 比較項目 | タイ古式マッサージ(妊婦対応) | マタニティマッサージ |
|---|---|---|
| 設計の出発点 | 幅広い人向けから妊婦NGを外す | 最初から妊婦向けに設計 |
| 施術者の前提 | 妊婦施術の知識・経験が要る | 妊婦向けの研修が前提 |
| 圧の強さ | 軽めの指定が必要 | もともと軽めが基本 |
| 姿勢 | 横向き・座位への対応が必要 | 横向き・座位が標準 |
| 向いている人 | タイ古式に慣れ、妊婦対応店を選べる人 | 初めて/とにかく安心を優先したい人 |
こんな人は無理に受けないで
体調や経過によっては、時期にかかわらず施術を控えたほうがよい場合があります。次に当てはまるときは、施術より先に産科医に相談してください。
- 切迫早産・前置胎盤などの診断を受けている
- 出血・腹痛・強い張りなど気になる症状がある
- 産科医から安静をすすめられている
- 妊娠初期で、まだ経過が落ち着いていない
妊婦対応サロンの選び方:確認したい5つのこと
最後に、サロン選びのポイントです。妊娠中の施術は、店選びで安心感が大きく変わります。料金やアクセスより先に、妊婦への対応力を確認しましょう。
予約前に、サイトやSNSに「妊婦可」「マタニティ対応」の記載があるかを見て、電話やメールで週数を伝えて受け入れ可否を確認します。「妊娠中でも普通に大丈夫ですよ」と軽く流す店より、避ける部位や産科医の許可を丁寧に確認してくれる店のほうが安心して任せられます。
サロン選びのチェックリスト
- サイトに「妊婦可」「マタニティ対応」の記載がある
- 施術者が妊婦の施術に慣れている
- 問い合わせ時に週数・体調を丁寧に確認してくれる
- 横向き施術・部位の回避に対応できると言ってくれる
- 体調変化のときの対応方針を確認できる
サロン選びの基本は、妊娠中以外にも共通します。あわせてタイ古式マッサージのお店の選び方や、施術全体のタイ古式マッサージを受けるときの注意点も参考にしてください。
よくある質問
Q1:妊娠中にタイ古式マッサージを受けられるのはいつから?
安定期(妊娠16週ごろ)以降を目安にする店が多いです。ただし週数だけで決めず、まずかかりつけの産科医に相談して許可を得てから検討してください。切迫早産・前置胎盤などの診断がある場合は、安定期でも控えるのが基本です。
Q2:妊娠初期に受けてしまったかもしれません。どうすれば?
施術後に腹痛・出血・張り・強いだるさなどがあれば、すぐにかかりつけの産科に連絡してください。症状がない場合も、次の検診で施術を受けたことを医師に伝えておくと安心です。今後は経過が落ち着くまで待つのが無難です。
Q3:妊娠中のタイ古式マッサージは保険適用になりますか?
リラクゼーション目的のタイ古式マッサージは医療行為ではないため、健康保険の対象外で、費用は自己負担が基本です。料金の考え方はタイ古式マッサージの料金相場でも整理しています。妊娠中の施術可否はあくまで産科医への相談が前提です。
Q4:タイ古式とマタニティマッサージ、どちらが妊婦に向いていますか?
最初から妊婦向けに設計されたマタニティマッサージのほうが、初めての方には選びやすいといえます。タイ古式マッサージを妊娠中に受ける場合は、妊婦NGの手技を外せる施術者かどうかの確認が欠かせません。迷うときは、まずマタニティ対応の店から検討してみてください。
Q5:そもそもタイ古式マッサージとはどんな施術ですか?
指・肘・膝での圧迫と、ヨガのようなストレッチを組み合わせた伝統的な施術です。詳しくはタイ古式マッサージとはで紹介しています。身体への負荷が比較的大きいため、妊娠中は時期と体調を見て慎重に判断する必要があります。
まとめ
- 受ける前に、まずかかりつけの産科医へ相談するのが基本
- 妊娠初期(〜15週ごろ)は控えるのが無難。安定期以降を目安にする店が多い
- 腹部・腰・足裏・三陰交などのツボや強い刺激は避ける
- 姿勢は横向きが基本。時間は60分以内を目安に、室温にも配慮する
- 妊婦の施術に慣れた店を選び、週数と体調を事前に伝える
妊娠中の身体のケアは大切ですが、何よりも安心して過ごすことが優先です。タイ古式マッサージを検討するときは、まずかかりつけの産科医に相談し、無理のない範囲で取り入れてください。
免責事項
※本記事は公開情報をもとにした一般的な整理であり、医療行為・診断や特定の施術の安全性を保証するものではありません。妊娠中の施術の可否は、かかりつけの産科医にご相談のうえ、ご自身の体調に合わせてご判断ください。気になる症状があるときは医療機関を受診してください。

